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特別養護老人ホームに勤務するハナコさん
今回のお相手は、ハナコさん(仮名)です。前回お話を聞いたタロウさんと同じ職場で働いています。同じ職場ながら、タロウさんとは雇用形態が異なるハナコさん。タロウさん同席のもと、和やかな雰囲気でお話は進みました。
※インタビューに応じてくださった方に関する個人情報保護の観点から、お名前は仮名とし、職場に関する役職名その他委員会等の名称を実際の名称から一般的な名称に変更しています。具体的なエピソードについても、趣旨を損なわない範囲で編集をしています。
◆お勤め先のことはおおむねタロウさんからお聞きしました。ハナコさんは、派遣登録をして、今の特養で働いているんですよね。
そうです。シフトも遅出でほぼ固定で、夜勤はしていないです。
◆では、今日の仕事の流れを教えてください。
12時出勤して、二人介助の人の離床、食事介助の分担指示を出して、服薬介助に回ってというのが最初です。食事介助が必要なのは今5人です(タロウさんと同じ部署で利用者は30人弱)。服薬介助を終えたら下膳と食事量チェックして、口腔ケアのために、洗面台までの誘導と同時にトイレ誘導もします。二人介助の臥床もですね。それも落ち着いたらフロアでリハビリ体操をしました(ラジカセで音を流してする)。
最近は同じく派遣で介護の記録を打ってくれる人がいるので、助かってます。パソコンに不慣れな人だったんですけど、とにかくちょっとずつでも慣れてもらって。
体操の後は休憩です。14:30から15:30。最近さっき言った派遣の人とは別の派遣の人が追加で入ってきてどんどん動いてくれて助かります。介護の仕事に慣れた人で。指示を出したら動ける、というのは大きいですね。急に人が増えると、それはそれでどうしようかな、となることもあるんですが。
◆休憩が早いですね。
そうなんです。でももう慣れました。
◆休憩明けは?
トイレ誘導やおむつ交換だったり、記録打ったり。夕方から申し送りなので、その間にフロアの見守りをしつつ、夕食用のお茶を準備したりしてます。17時から早出しの食事はじめて、17時半から離床介助して、17時45分から夕食配膳。配膳終わったらひたすら服薬介助です。夕食はほとんど皆さんお薬が出てます。18時20分くらいから臥床介助開始して、トイレ誘導やおむつ交換に回ると。もろもろ終えて21時定時で退勤です。
◆今の職場で得意なことはありますか?
シフトが固定なので、やることが決まっていて。その中でも服薬の介助をすることが多いんです。慣れてきて、上手くなったと思います。認知症の人に対してとか。
◆逆に苦手なことは?
お風呂を受け持つことがシフト上少ないので、たまに割り振られるときついですね…
今までの職場ではお風呂ばかり割り振られることが多かったので、苦手ということではないですけど、もうあまりやりたくないという気持ちのほうが強いかもしない。パートとして働くことが多かったですが、デイでもショートでもパートがお風呂をすることが多かったです。
◆今までの職場ですごいなと思う人はいますか?
うーん、誰だろう。いないことはないけど、その時その時の場面で「すごいな」と思うことはあります。上手く言えないけど。
◆仕事で落ち込むことは?
利用者さんとのかかわりとか仕事そのもので落ち込むことはほとんどないですけど、職場の人間関係を嫌だと思うことはあります。目の前の仕事に集中できていなくて、周りで働いている人の動きとかを気にしてダメなところを指摘しあうようなところとか、あの人はダメだという話を、見てもいない人が口にしたりすることがあると、嫌だなと思います。
◆楽しかったり嬉しかったりすることはありますか?
利用者に抱き着かれたりすると嬉しいかも(笑)。ぱーってしゃべってて、最初は噛み合ってなかったのに、だんだん噛み合ってくるとき嬉しいですね。利用者さんが自分の名前を憶えてくれていたりするとすごい嬉しいです。
◆今の職場でいくつめですか?
いろいろ転々としています。最初は老健です。次も老健でしたがユニット型でした。ショート、デイ、特養、今の特養が大まかなところです。他にも短期間勤めたところがいくつか。
◆仕事で緊張するときは?
やっぱりお薬の時(笑)。慣れてても緊張します。自分がお薬を扱うときは必ず、自分の役割でないときもお薬に変わりがないかとかチェックしますね。間違わないように。
◆介護の仕事を始めたときはどんな様子でしたか。
ヘルパー二級を取ってから初めて、最初はシーツ交換からでしたね。ヘルパーの資格の時に勉強したことと、現場で目にすることにギャップを感じて大変でした。
◆辞めようと思いませんでしたか?
思いましたね。
◆でも、場所は変えつつ続けられているのは?
いろんなところで勉強したいなと思えているので。なんで続けられるか、というのは、介護をしていない友達からもよく聞かれるんですけど。なんででしょうね。人と身近に感じられて、接することができて、というのがいいかもしれないです。家族のように接してくれる利用者さんとか嬉しいですね。
◆お仕事以外の時間で勉強をすることってありますか?例えば資格とか。
介護福祉士は取ってないんです。取ってないんですけど、まあ取ってなくてもいろいろ経験できているし、取らないとできないこともないので、今はいいかなと思っています。
◆一番負担が大きいと感じることは?
人がいないときのおむつ交換のしんどさ(笑)。背中を何回も痛めているので。少しくらいは大丈夫ですが、あまり続くと…
◆一番難しいと感じることは?
うーん。なにかなあ。
◆一個一個はそれほどは難しくないけれど、全体として慌ただしくて難しい感じですか?
うーん、そうかもしれないです。
◆介護のお仕事で、別の職場に行くなら?
老健ですね。一番初めが老健で、医療職の人と働いて勉強になることも多かったですし、利用者の入れ替わりも定期的にあって経験を積めるように思うので。最初は特養に行くつもりはなかったんです。ただいろいろ回ってみて、特養で働けたらどこでもいけるよ、と聞いたりして、チャレンジしました。
◆介護の仕事をやってはダメと言われたら?
以前はレジ打ちをしたりしていたので、販売の仕事、接客の仕事がいいですね。
インタビューはここまでとします。例によって尻切れトンボですが…
ハナコさんは派遣という立場ながらも、勤務するフロアのことをいろいろと把握して、他の職員さんたちとも馴染んでいるようでした。介護の仕事はこれからも続けていきたいとおっしゃっている姿が素敵でした。