被介護者は「善き人」でなければならないか。

私(吉田)が、介護の世界とかかわり始めたのは、
ある身体障がい者への訪問ボランティアを始めたことでした。

その人は、ユーモアと、知性のある
とても魅力的な方だったんです。

ある夏の暑い盛りのことです。
トイレの介助をしていたのですが、
空調のない狭い個室に成人男性2人が
それなりの時間こもることになるのです。

これは、いくらボランティア精神があるといえど
大変なものでした。

「しんどいなーやだなー」と
思いつつも、そこでふと、
「なんで続けられてるんだろう?」と
疑問に思いました。

当事者の方が魅力的だから?と
最初は思ったのですが…

「この人が魅力的でなければ、介助を受けられないん
だろうか?そんなことはない。もちろん介助がしんどい
ものであれば公的にか私的にか仕事として誰かに発注する
必要はあるだろうが、この人が介護を受けるうえで
この人の人間性は関係無いほうがいい」

というようなことをつらつらと考えたりしました。

もちろん、しんどくてもボランティアを続けられたり
その後もアルバイトとして通い続けられたのには、
その人の魅力が後押ししていたことは間違いありません。

ただ、要介護者を美化する必要も、
無理に尊敬する必要もなくて、
どんな状態の人でも誰かに好かれたり嫌われたりしながら
生きていくのだと思います。

とりあえず、どんなにろくでもないひとでも
(そこに自分も入るかもしれない)、普通に生きていける社会
だったとしたらすごく安心な気がします。

もちろん、私だって、人として善くありたいと思うのですが、
もしもそれが叶わなかったとしても、何とか生きていける
ほうがいいなと思います。